「ん……く……ぅぅ……ったぁ」
初音は意識を取りもどしたとたんに、頭の芯に針を打ち込まれたような激痛と、全身のけだるさを自覚した。
服は着ていない。下着だけだ。徳用パンツに無地のスポーツブラという色気とは無縁なシンプルさだが、伸びやかな四肢と細い胴体にはよくフィットしている。
手足を縛られているわけでもなく、身体にそれ以上の異常もない。
「明……どこぉ……おなかすいたー」
いつものくせで明の存在をさがす。まだ、記憶がうまくつながっていない。
と、いきなり強い光を浴びせかけられた。
闇に完全に慣れていた目をくらまされ、初音は顔をそむけた。
「ようやくお目覚めか、B.A.B.E.L.のお嬢ちゃん」
笑いを含んだ男の声だ。目を細めることでかろうじてとらえたその姿は黒ずくめの男たち。バーサクテック社の警備員だ。ここでようやく初音はすべてを思い出す。
ナオミの匂いを追って、ビルに侵入しようとしたところを彼らに発見され、包囲された。
その後の記憶が定かではないが、どうやら初音は捕らえられてしまったらしい。
男たちはどうやらノーマル(普通人)らしい。初音よりも高レベルのエスパーがいれば感じるはずのプレッシャーがない。
初音にしてみれば相手がノーマルであれば、たとえ複数でかかってこられても何の不安もない。メタモルフォーゼすれば楽勝だ。
明がいなくても自分はやれる。そして、明からほめてもらうんだ――初音はそう考え、超能力を解放した。
初音の変身能力は強力な自己暗示と、外部に対するテレパシーと催眠の複合技だ。それにより、巨大な狼の姿と能力を手に入れることができる。
幸い、探査開始時からリミッターは解除されている。能力を使うのに何のためらいもなかった。
しかし――
「ぎゃひゃんっ!」
まさに獣さながらの声をあげて、初音はのたうった。
能力を解放した瞬間、全身に衝撃が走った。
いつもの変身とはまったく異なる感覚だ。そして気づいた時、初音は、自分が狼ではなく、ウサギになっていることに気づいた。それも、身体は人間のままで、耳としっぽだけがウサギというアンバランスな姿だ。
「ひょおっ、合成能力者の場合、どんな反応かと楽しみだったが、こんな変わった形になるとはな」
男は手にした装置のボタンを操作する。初音は身体をかけめぐる旋律に身もだえするとかない。どうやら、ECMがこの部屋のどこかにあるらしい。いや、ECMではないだろう。超能力が封じられているわけではないのだ。ただ、違う働きに変換されている。
初音の場合、狼へのメタモルフォーゼが失敗し、なぜかウサギに変身してしまっていた。
そして、変調はそればかりではなく――
「あ……なに……なんか……うずうずする」
初音は自分の身体を抱きしめた。体験したことのないようなぞくぞく感だ。知らず、太股をすりあわせている。
脚の付け根がうずく。かゆい。火照る。
初音は夢中でその部分を指でこすりはじめる。
「あひっ、なにっ、これ……っ」
初音は十四歳になる今まで、自慰行為とは無縁だった。欝積したものがあれば、メタモルフォセスで動物に変身し、暴れて発散してきたからだ。
だが、今は、ウサギの姿で、息を荒げて、腰がくねるのをどうしようもない。
そんな初音の痴態を見下ろしながら、男は笑った。
「ウサギってのは食欲と性欲の固まりだからなあ。ただでさえ、このEECMは、エスパー波を性欲中枢に流し込んで発情させる機能があるから、相乗効果ってやつだな。Extra-ECMの略だって博士はおっしゃっていたが、こりゃあ、エロいECMだぜ」
「おいおい、せめてエクスタシーECMっくらい言えねえのかよ」
他の男もへらへら笑っている。
EEECM波動にさらされることで、初音の身体の奥底からHな衝動がつきあげてくる。男たちに見られていることを自覚しながらも、下着に手を突っ込むことを止められない。
「やぁ……やだ、初音……こんなのやだよぉ……」
半べそをかきながらも、自分の指でワレメを――熱くなった亀裂を刺激する。
「さて、じゃあそろそろ撮影を始めるか」
「中学生となると需要もありそうだ」
男達は下卑た嗤いを顔に張りつかせ、ビデオカメラをの準備を開始する。
つづく
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