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「オナニー、うまくなったね」
荒い息をしているまゆの髪を撫でながら神村は褒めた。
「うん……おじさまのいうとおりにしたらすごくきもちかったから……」
罪悪感のかけらもない、屈託のない笑顔だ。
すっかりなついてくれた。
こうやって、ビデオを回しながらエッチなお願いをしてもイヤといわなくなっていた。それどころか、自分からせがむこともある。
週に一度、多いときは二度三度、まゆは事務所にやってくる。
神村にはわかる。沢とあまりうまくいってないと、まゆはやってくるのだ。
だから、沢には時間のあきができにくい、手間がかかる仕事ばかり紹介してやっていた。沢に否やはない。まゆに寂しい思いをさせているとは気づかず、せっせと働いているのだろう。
おそらく、まゆと身体を重ねた回数は沢より神村の方が多いはずだ。沢とまゆの行為は愛の儀式であって、神村とのそれは練習であり遊びであるからだ。はるかに気軽で、それでいて多岐にわたる。
「ほら、今日のオモチャだよ」
まゆの視線が神村の手元に集まる。
「ん? ろーたー、じゃないの?」
「ローターもあるけど、今日はバイブもだよ? 前に一度使ったことあるでしょ?」
「でも、なんか……透明だね」
「そう。透明なんだ」
「ふうん……」
色があまりにリアルだと、まゆが挿入をいやがるかもしれない。だから存在感を薄めるために透明にした。
「じゃあ、練習、しよっか」
「うん」
「まず、大人のキスからだよ」
「うん」
奇跡だ――まゆが自分から唇をおしつけてきて、小さな舌をさしこんでくるのを迎え撃ちながら神村は思う。
神様が魔法をつかったとしか思えない美少女。姿ばかりでなく性格もこの上なく善良だ。男なら誰しもこんな少女と恋に落ちたいと願うのではないか。
早くから目をつけていた。それこそ、この少女が生まれたときから。だが、本当に自分のものになるとは思っていなかった。さまざまな障害があったから。
それが、自分でも信じられないほどうまく運んだ。人が良いだけで取り柄のない若者を使い、彼女の養父母を出し抜いた。便宜上、その若者にまゆを取られた格好だが、いまこうしているように、まゆの身体をほとんど自由にできる。沢は神村を恩人として信用しきっているから、将来にわたってコントロールすることができる。
あとは、まゆ本人だ。じっくり時間をかけて調教し、神村なしではいられないようにする。いくら心では沢を好いていても、肉体にはあらがえない。それは弁護士業を三〇年近く続けてきた経験からも間違いない。
少女の舌をいたぶる。小さくて柔らかくて、ちょこちょこ動く可愛い軟体動物。舌がふれあうたびに電気が走って欲望が突き上げてくる。
「はふ……」
まゆの目がとろんとしている。
「おじさまの、おとなのキス……すごい……」
「まゆちゃんも上手だったよ」
「そかな……」
はにかむまゆ。逆上がりがうまくいっても、きっと同じ表情をするのだろう。
「まだまだキスするよ――体中に」
「ん」
神村は少女をソファベッドにやさしく押し倒し、少女の薄い胸を愛撫する。
「ひゃ、あ……」
敏感な乳首を刺激されて反応するまゆ。
ピンクの尖りはもうとっくに勃起している。
乳首のまわりにわずかに脂肪があるだけの胸は、まだ乳房とはいえない。だが、未来の豊かさに向けての萌芽は始まっている。
まゆの母親は百人に一人いるかいないかという美乳の持ち主だった。大きすぎず、小さすぎず、最高の曲線と量感を持ち、乳首の色も処女のようなピンクだった。
かつての雇い主から見せてもらったファイルに挟まっていた写真には、まゆの母親が妊娠しているときのヌードも含まれていた。それは、彼らの狙いがすでに娘に向かっていることを神村に悟らせた。
この子をあいつらから守れるのは私だけだ――神村はそう自負している。今も、アメリカにいる彼らの動静を探らせている。今のところやつらが動く気配はないが、油断はできない。まゆを目の届くところに保たなければ――
だが、今は少女の蕾を味わう悦楽に浸ろう。
「おじさま――キスマーク、ついちゃう」
小声の非難。
神村は少女の乳首を夢中で吸っていたことに気づく。
「ああ、ごめんごめん。赤くなってないから大丈夫だよ」
まゆはこれを「練習」だと思っている。あるいは、後を引かない「遊び」だと。だから、キスマークをつけることはルール違反だと理解している――それも神村が作ったルールなのだが……
神村は舌で少女の乳首を転がす。少女が好む強さで、何度も。
まゆは気持ちよさそうに目を閉じ、ちいさく、おじさま、いい、とつぶやく。
この時間が永遠に続けばいい、神村は思う。
舌を動かし、たまに音をたてて吸う。強くなりすぎないように。
まゆのからだを自分の唾液の匂いで包んでしまう。おれのものだ、と主張する。
腋を、腕を、指先まで、丹念に舐める。
さらに、脇腹、おへそ、太ももから降りていき、足指まで。
まゆは、自分の足指を舐める神村をうっとりと見ている。
最初のうちはくすぐったがるだけだった。だが、執拗に足を舐めるさまを見せてやることで、まゆは反応するようになった。子供心にも、大の大人が自分の足指をおいしそうにしゃぶるさまを見るのは不思議な征服感を感じるのかもしれなかった。
「おじさま、どうしてまゆの足を舐めるの? 汚いのに……」
「まゆちゃんの足はね、とっても魅力的なんだよ。足の指の間の匂いも、すばらしい」
「やだ、おじさまの……ヘンタイ」
その言葉も神村が教えたのだ。確かに、神村をなじるとき、まゆの語尾は震えていた。
サディスティックな悦びを感じているのだ。
だが、神村はまゆにS的な性癖を仕込もうとしているのではなかった。まゆの本質はMだ。それは遺伝的にも間違いない。だが、ただいじめられるだけのMではなく、S的な悦びも教えておきたい。状況に応じて、いずれの快楽も味わえるように。
調教が順調に進めば、ソフトSMにも進むつもりだった。
まゆに教えることはいっぱいある。
きっとそのすべてをまゆはマスターするだろう……
つづく
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