ルイズのねこ耳にゃんにゃんNIGHT!(5)
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かわって、こちらは「蛇と星」の天幕。
「われわれには彼女がいない……なぜだ!?」
マリコルヌの目はすわっていた。
「結論! そんなものは不要だからだ!」
その天幕は、もてない男たちのオーラでどよどよしていた。
マリコルヌと、その系統の仲間たち、およそ十人ほどが車座を作ってワインをラッパのみしていた。
「彼女ぉ? 女なんて魔物よりひどい! うそをつく、すぐに怒る、そして都合が悪くなると泣く!」
「まったくだ!」
「その通りだ!」
後ろ向きな同意の声がわき起こる。
「女なんて! 生意気だし、何かというとすぐに贈り物を要求するし、贈り物をしてもけっきょくあんたの顔が嫌いと言われるし!」
「わかるぞ!」
「女はひどい!」
だが、マリコルヌの肩が落ちる。
「でも……ほんとは……彼女が欲しいんだよぉ……」
「うおおおおおん」
「おれも、ほしいいいい」
「サイトめ、うらやましいやつ!」
「ほんとうだ、今日もラ・ヴァリエール嬢といちゃいちゃと」
「ゼロのルイズ――性格はともかく、見た目は可愛いしな」
「胸がないぞ」
「だが、それがいい」
「そうだ、希少価値だ!」
誰が何を言っているのか、もうわやくちゃだ。
「じゃあ、そろそろ、ひとりずつ一発芸を披露しあって、心の傷を癒そうぜ」
もてない男たちのヤケ酒宴会恒例の隠し芸大会だ。
「って、結局みんな裸踊りするだけじゃないか」
「今回はBGMと照明も用意したよ。ポールダンスができるように支柱も立ててあるし」
一人、宴会部長とも言うべき人間がいたらしく、なまめかしい音楽と毒々しいライトが天幕の端を照らし出した。どうやらそこがステージになるらしい。
「じゃあ、一人目はだれだ? マルコリヌか?」
「よしっ!」
マリコルヌが立ち上がり、ズボンとパンツを一気にずりおろしたその時、天幕の布が動いて、照明のなかに肌もあらわな美少女が現れた。
「にゃん、にゃん、ご主人様、大好きだにゃあん」
ネコミミに布地のちっちゃいビキニ、それにしっぽ――桃色ブロンドの絶世の美少女、ルイズが顔を真っ赤っかにして、登場したのだった。
つづく
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