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空気が凍った。
マリコルヌたちもさすがにそれには引いた。
事態が理解できなかったのだ。もしもマルコリヌが地球の、しかも日本のテレビ番組というものを知っていたら、まず最初に「どっきりTV」の看板を持ったタレントが飛び込んでくるのを予想したろう。
だが、それはどっきりでもなんでもなく、正真正銘のルイズだった。しかも、普通ありえないレベルの露出度だ。下着なんてもんじゃない。局部以外は全部出ているので、むしろ裸よりもいやらしいくらいだ。
しかも、とろんとした目で「にゃあん、にゃん」などと言っている。
見ると手に空っぽのワインの瓶を持っている。一気飲みでもしたらしい。
どうやら酔っ払ったルイズが、マリコルヌたちの飲み会に飛び入り参加をしたようだ。普通、そんなことはありえないわけだが、そう判断するしかない。そもそも、ルイズがネコミミコスプレをするための勇気づけにワインをがぶ飲みして酩酊したあげく、サイトの「龍と星の天幕」といいうプチ間違い情報を頼りに、「蛇と星の天幕」に飛び込んできたのだ、と見抜くのはなかなか難しい。だいたいにして、マリコルヌたちもしたたか酔っている。
半裸の美少女――しかもネコミミつき――と飲めるなら、そのほうがいいじゃないか、サノヨイヨイ、てな塩梅である。
凍った空気から立ち直ったマリコルヌたちは、ルイズに対してやんやの声援を送った。
「飛び入りのルイズ・ド・ラ・ヴァリエール嬢を正式にこの飲み会のメンバーとして迎えよう。異議のある者は!?」
「異議なし!」
「異議なーし!」
全員が唱和する。
「では、早速、ルイズ、踊ってくれたまえ」
「いいぞ、ルイズ、ひゅーひゅー」
ムード音楽が大きくなる。魔法は便利だ。
「え? なに? サイト? 踊りゅの?」
ルイズはアルコールでぼんやりした頭で周囲を見渡す。まばゆい光で周囲は何もわからない。どうやらサイトはすぐ近くにいるようだが、酔っぱらっているせいで何人にもダブって見えてしまう。
踊ってほしい、と頼まれたようなので、ルイズは音楽にあわせて身体をくねらせた。
そうするとすごい声援と拍手だ。ルイズは感激した。サイトは一人なのに、まるで十人ぶんの歓声と拍手だ。それだけルイズの踊りを喜んでくれているのだろう。
「んふ……サイト……もっと見て」
ルイズは猫の真似をして四つん這いになり、おしりをつきあげた。しっぽがぴょんこぴょんこ揺れる。
「おおおお」
「これはすごいですよおおおっ」
目の前の特設ステージで、ルイズがにゃんにゃんダンスを始めると男子のボルテージは一気に上がった。もともと、女の子にあまり縁のない男子たちである。目の前で蠢く小振りなヒップに目が釘付けだ。
しかも、布地が小さくて、おしりの山にくいこんでいるから、ほとんど見えている状態だ。
「女の子の……おしり……おしりだ……」
マリコルヌは最前列でかぶりつきだ。
ふにふにと上下動する丸いものにつられて男子の首も上下に動く。さらにシッポの動きが幻惑する。
「あああ……つやつやしてる」
思わず男子の一人が手をのばす。ルイズのおしりにタッチする。
「やんっ、サイトのエッチ」
ルイズがいやいやするようにおしりを振る。もちろん、いやなのではなくて、誘っているのだ。
男子は次々と手を伸ばした。
「まちたまえ! 踊り子さんに手を濡れてはいかーんっ!」
マリコルヌが一喝する。
「ルイズも、もっといろいろな踊りを見せてくれたまえ! その支柱を使って!」
ルイズは立ち上がり、天幕の支柱によりかかった。脚がふらついたからそうなっただけだが、結果としては、支柱を軸にしてくるりんと回転した。
おおお、と歓声があがる。
ウケたようなので、ルイズも嬉しくなって、支柱を股ではさんで、上半身をそらして回転したり、支柱を両手で握った状態でしゃがんだりした。ポールダンスっぽくなっていることは、もちろん意識していない。
男子は、ルイズが身体をそらすことで見えそうになる胸や、しゃがむことで丸見えになるお股の部分に熱視線を送った。
そればかりではなく、感謝の気持ちからか、お金が飛び交いはじめた。
ブラと胸の隙間に金貨や銀貨を突っ込む。パンツのところにもだ。
ルイズはそれがサイトからのごほうびだと思っているから、さらにサービスを過激にする。
脚をひろげて座り込み、自分の股間がよく見えるようにする。
「サイトぉ……どぉ? 色っぽい?」
「色っぽいよ、ルイズ!」
「お股のお肉がちらっと見えてるよ!」
食い込んでいるから、大陰唇は見えてしまっているのだ。その内側にある粘膜は、細い布地が食い込んでかろうじて隠している。
「チップあげる! チップ! ほらっ」
マリコルヌがありったけの金貨を取り出し、ルイズのブラとパンティに詰め込みはじめる。
ブラやパンティを引っ張って、じゃらじゃらっと。
「サイト、こんなにたくさん入れたら……脱げちゃう」
金貨の重みで、ブラもパンティもたれさがっている。
ルイズがのけぞった瞬間、ブラがずれて、小振りな乳房がまる出しになる。
「オッパイだ!」
「オッパイだぞおぉぉぉぉっ!」
「乳首っ! 乳首だぁっ!」
初めて女子のオッパイを見た者も多く、悶死者続出。
「やだ……」
胸元を隠そうとするルイズだが、そうするとパンティがずれてしまう。
ルイズの大事な部分がチラチラする。
「ワレメだっ!」
「生えてない!」
「あれが……あれが女の子の……おーぃおい」
泣き出す者まで。
こうなったら、もう男子の願いはひとつだ。
「ぬーげ」
「ぬーげ!」
「ぬいじゃってー!」
大唱和が始まった。
ルイズにしてみれば十人のサイトから「脱いで」と頼まれているようなものだ。
「……そんなに見たい?」
「見たい!」
「見たいよ!」
「見たいです!」
男子の絶叫はとどまるところを知らない。
「じゃあ……見せてあげる」
ルイズはサイトの前で脱ぐことにそんなに抵抗感を持っていない。
ましてや今はアルコールのおかげで脳内がお花畑状態だ。
さらに、「サイトたち」にチヤホヤされて気分がよくなっている。
ルイズはブラもパンティも取り去った。もともと半分以上脱げていたから、かんたんなものだ。
しっぽはパンティと一体なので、これでルイズの身体につけてあるのは、ネコミミとチョーカーだけとなった。
ライトに照らし出されたのは、十六歳の貴族のご令嬢のフルヌードだ。
スレンダーな子供っぽい身体だが、男子にとっては同年代の女の子の裸は十分刺激的だった。
小振りなバストに、小粒の乳首。色は薄いピンク。くびれた腰にわずかにはりだしたヒップはきゅっと締まっている。そしてほとんど無毛のアソコ。ワレメがはっきりと見える。
男子たちは考えた。ワレメの中をもっとちゃんと見たい、見たいミタイミタイ!
そして考えついた。
「ルイズ! ねこにゃんダンス、アンコール!」
「にゃんにゃん踊り、もう一度見せてくれえ」
「にゃんにゃん! にゃんにゃん!」
大歓声だ。
「そんなによかった……かにゃ?」
ルイズは調子にのって四つん這いになった。おしりを突き出し、にゃあん。
猫のまねをするが、男子の視線はもちろん高く掲げたルイズのヒップに集まっている。
ルイズは、男子の目の前に、おしりの穴も、ワレメも完全にさらしてしまっていた。
さらに腰を動かすものだから、ワレメが動いて、花びらがくにゅっと顔を出す。おしりの穴もひくひくっとなる。
「も、たまんねえ!」
男子の一人がズボンを脱いで、ペニスを露出させた。自分でこすり始める。
目前のルイズをネタにオナニーを開始したのだ。
「おれも!」
「おれもだ!」
追随する男子が続出。まあ、よっぱらって、「誰が一番遠くまで飛ばせるか」を競うような連中だ。ノリは同レベル。
たちまちおちんちんランドと化す天幕である。
つづく
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