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その頃のサイト。
まだ、シエスタのお説教は続いていた。
「にしても、ミス・ヴァリエールはどうしたんです?」
「あ、いや、泉の方にいるんじゃないかな?」
「サイトさんと一緒じゃないんですか?」
「あ、なんか、考え事があるとかで……全然一緒に行動してないよ」
そこにもしもルイズが、「ネコミミ」なんぞをつけてやってきたら、大変なことになってしまう。
(ルイズ……来るな……来るんじゃないぞ……)
祈りを捧げる。
と、隣のテントから大きな歓声が聞こえてきた。マリコルヌたちのテントだ。それなりに離れているのに聞こえてくるくらいから、大盛り上がりなのだろう。
男たちだけでも、ずいぶん楽しそうだ。
それにひきかえ、サイトは我が身の女難を呪う。
(いいなあ、マリコルヌたち……おれもあっちにまざればよかった……)
正座しつつサイトは思った。
その、マルコリヌたちの天幕では――
敷布の上に横たわったルイズの両脚を抱え、マリコルヌはペニスの先端をルイズの性器に押し当てる。
「ほら、ルイズ、入れるよ。ぼくのチンポを、オマンコに入れちゃうよ」
亀頭がルイズのワレメをこする。
「あっ……あん……」
あれから、男子が代わる代わるルイズをペッティングして、五、六回は絶頂を迎えている。
刺激されすぎて乳首は小指の先くらいまで勃起し、薄い胸から突き出しているし、クリトリスもかつてないほど張り詰めている。ましてや膣は愛液でとろとろだ。
いつでもオッケイな感じにルイズの身体はできあがっている。
それでも、挿入となると話は別だ。ペニスが膣口を探り始めると、ルイズの意識に冷静さがわずかにもどった。汗をかいて、少し酒が抜けてきたというのもあるだろう。
(い、いよいよなのね……私、女に……サイトのものになっちゃうんだ……)
ドキドキする淫靡なフレーズだ。サイトだけの女。ライバルは身近にいっぱいいるけれど、でも、いまこの時から、サイトとルイズは分かちがたく結ばれるのだ。
ルイズは、自分を征服しようとする愛しい男の背中に手を回した――
届かない。
太すぎるのだ。
それにぷよぷよしている。マシュマロの巨大版を抱いているような感触。
この世界にきたばかりの時はいざしらず、最近のサイトは剣術で身を鍛えているから、細くて筋肉質だ。指で押しても数秒間押し返してこないような弾力系ではなかったはず。
それに、のぞき込んでいる顔も妙に丸い。
「サイト……ほんとにサイトなの?」
ルイズの桃色の意識に一瞬、疑念が走る。
目をこらす。酔いのためにぶれていた像が一瞬フォーカスする。
丸い顔の目鼻が見て取れた。
「!?」
「そう、ぼくだよ。マリコルヌだよ」
「なっ、なんで、あんたが!?」
一瞬にして酔いが醒める。
「なんでって、ルイズのことを最初にイかせたのはぼくだから、一番乗りに決まったんだよ。戦場における一番槍みたいなもんかな」
マリコルヌはへらへら笑いながら、それでも執拗にルイズのワレメにペニスをこすりつけてくる。
「ん、あっ! ど、どこにナニこすりつけてのよ、このヘンタイ!」
押しのけようとするが、マリコルヌは重い。それだけじゃなくて、強い、力が。
「ナニって、さっきルイズがナメナメしておっきくしてくれた、ぼくのチンポだろ?」
「私が……!?」
「ぼくのだけじゃないぜ。みんなのだって、ルイズ、しゃぶったり、しごいたりしたろ?」
「みんなって……」
周囲を見渡すと、顔見知りの騎士たち――ようするに魔法学校の同級生たち――が股間を大きくして、ニヤニヤ笑っている。
「みんなに気持ちよくしてもらったお礼にって、ルイズが自分でしたんだぜ?」
「そんな……でも、あれってサイトじゃ……」
記憶が混乱している。確かに、サイトにいっぱいいっぱい気持ちよくしてもらって、うれしくて、オチンチンにキスしまくった気はする。それが、なぜか何本もあって、「サイトってすごい」と感動していた気もする。
よく考えれば、サイトのオチンチンは一本だけのはずだ。十人もサイトがいて、代わる代わるルイズを可愛がってくれるはずもない。
――ということは。
今まで、ここで自分がしていたことは――
ルイズの意識の中で現状がようやく明確になる。
と、その瞬間。
ズンッ! と。
マリコルヌが入ってきた感触があった。
つづく
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