「ルイズ……」
声をかけられ、ルイズは朦朧とした意識をとりもどす。
いつしか気を失っていたらしい。
部屋の窓から差し込む日の光はすでに赤い。夕方の色だ。いったい何時間経過したのか。
少年たちがマリコルヌに場所を譲る。
ルイズとサイトのベッドは、すでに数十人の男の精液で多重にマーキングされていた。
おそらく、サイトの匂いはもう残っていない。
どちらからともなく恋人のような濃厚なキスをする。
舌がからまる。
ルイズは必死でマリコルヌの舌を吸った。
サイトのことは思い出さなかった。
サイトのキスとも比べなかった。
挿入される。
いい。
マリコルヌのペニスはルイズにとって、大きすぎず、小さすぎず、絶妙なサイズと硬さだ。
処女を奪われてから、何度も犯されたからだろうか。
身体が馴染んでしまっている。
ハメてもらうと、頭が真っ白になる。
瞬殺に近い衝撃度で、性感が高まり、押し寄せてくる。
「いくいくいくくうぅううぅうっ! マリコルヌのおちんちん、しゅごぉおおいいい!」
「ぼくのチンポで妊娠するんだ、ルイズ! いいね! このチンポで、はらめえええええ!」
「はっ、はらむぅううううう! マリコルヌの赤ちゃんっ、妊娠するぅうううううっ!」
「出すぞ! 今日五発目だ――絶対これで妊娠だ!」
「するっ! 絶対妊娠するっ! おまんこにびゅっびゅして! ルイズの赤ちゃんのお部屋をマリコルヌのセーエキで一杯にしてえええええっ!」
「おおおおおおっ!」
少年の精力は無尽蔵だ。五回目の射精だというのに、これまでで最も大量に、勢いよく、濃い、こおおいい精液が噴出する。
「あっつぅうううううううういいいいいいいいっ!」
ルイズが絶頂のさらに先までのぼり詰める。
「あ……あああああ……いま……いま……」
新たに殺到した強制無比な軍勢が、ほかの精子たちを打ち払いながら、ルイズの卵子に襲いかかる。
膜に食い入ってくる。何匹も、何十匹も、何百匹も――いや、それ以上――
「ああああああっ! だめええええええっ! ほ、ほんとに孕むっ! あかちゃんがあああああああっ!」
ぶにっ――!
膜がその防御力を弱め、ついに精子の侵入を許し――
受精する――
エピローグ
「はっ!」
ルイズは思わず起き直る。
全身汗みずくだ。
「どうしたんだ? ルイズ」
傍らで眠っていたサイトも目覚めたようだ。
眠りを妨げられても怒るそぶりさえ見せない。
サイトは優しい。特に最近は――
「夢……ちょっといやな夢を見ただけ」
「そうか? ならいいけど」
言いつつサイトは愛しげにルイズのお腹をなでさする。
「お腹の赤ん坊もびっくりしたんじゃないか?」
目を細めながら、この上なく大切なものを愛おしむようにささやくサイト。
「――そうね……ごめんね」
ルイズも自分のお腹を撫でる。
あの日――深夜戻ったサイトとルイズは初めて結ばれ――ルイズは妊娠した。
婚約済みの間柄だったから、それはおめでたいことと祝福された。
むろん、「結婚前に妊娠だなんて、ふしだらな!」と激怒した者(エレオノールだ)もいたし、ヴァリエール公爵はサイトを半殺しの――いや九割殺しの目にあわせると誓いをたてたりもしたが、サイトとルイズはいくつかの試練を乗り越えて、ついに公爵の承諾を得ることにも成功した。
学園のみんなに祝福され――シエスタもタバサもテファも表面的には――実際は愛人でもいいから、とサイトにモーションをかけている者もいるようだが――サイトとルイズは結婚式を挙げた。
お腹が大きくなる前に、サイトの世界を訪問し、サイトの家族にも挨拶をしようという計画もたてている。ワールド・ドアの魔法で、サイトの世界との行き来もかなり自由にできるようになっていたのだ。
愛する人に望まれて、いつも一緒にいられて、ルイズは幸福だった。
でも、赤ちゃんの父親がいったい誰なのか――
ルイズにはその答えが解っている。
確率は三十数分の一、だが――
ぶひぶひ!
ルイズは、仔ブタのように可愛く鳴く愛し子を抱くことを夢見ながら、自らのお腹をそっと抱きしめた。
おわり
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