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おいおい。
台本には美耶子の性器を広げて、中身まで見せつけるように書いてあるぞ。
正気か?
地上波なんだぞ。普通に放送事故だろ、これ。
「大丈夫よ。あんたの肩が隠すように撮るから。そもそも代役のあんたの顔を撮るわけにはいかないからね」
たしかにその通りだ。
代役のおれの顔を撮らないようにするにはおれの背中越しに撮るしかない。
それであれば、美耶子の性器もカメラから隠すことができるだろう。
「ゆ……ういち……」
うるんだ瞳で見上げられると正直辛い。
股間が張り詰める。
美耶子は、おしっこと愛液に濡れたパンツを自分で脱いでいた。カメラに映らない角度を知り尽くした手慣れた様子で。
さすがに恥ずかしいのか――いや、演技だ――顔を赤らめて顔をそむける。
おれは、美耶子の脚を広げさせる。
真っ白な内股が目に飛び込んでくる。何回、何十回、いやそれ以上見ていても慣れない。美しすぎる、10歳のあそこ。
白い谷間に薄紅色の陰裂が縦に走る。
発毛の兆しさえない10歳のつるまんこだ。
わずかに陰唇が飛び出しているのがいやらしい。
「あ……ん」
おれの指がクリトリスの包皮を剥いたときに美耶子が漏らした声。
ひくんっと腰がはねたために、一瞬、美耶子の性器がカメラに捉えられたかもしれない。
だとしたら放送事故だ。
だが、始末書を書くのは雇われプロデューサーだ。
おれはおれで、亀有の行動を台本に沿ってレースせねばならない。
これは仕事だ。おれのミスは美耶子の失敗となる。美耶子の女優としての経歴に傷はつけられない。
おれは、美耶子の性器を左右に広げた。
くぱあ、と美耶子の性器が口を広げる。
カメラマンがおれのすぐ背後にかぶさってくる。お、おい、それだとおれの手元も映るだろ!?
『監督、具、映ってますけど――』
モニターチェックしているらしいADが報告しているのが、つけているインカムから聞こえてくる。
『あ、じゃあ、そこ、さっき撮った桜貝と小薔薇の映像と差し替えて』
『あ、はーい』
なんだそれ。
ともかく、美耶子のモロ性器が全国放送されずにすんだことにホッとする。
ええと、この先の段取りは……
亀有は、熱にうかされた美耶子の性器を指で愛撫――
マジかよ。地上波ドラマだろ、これ。
このシーンの撮影はあしただっけ。亀有にもまんこいじられるのかよ、おれの美耶子が――
「きょ……今日は……ゆういちがして……」
美耶子の必死の声。
目が合う。
どきりとするほど真面目で思い詰めた表情。いつも思う。女優のときの美耶子は、いつものお馬鹿でワガママな美耶子とは違う生き物だ。一瞬にして脱皮した蝶のようだ。
「お……ああ」
圧倒されながらうなずき、美耶子の性器に指を――
くちゅ。
おあっ、もう濡れ濡れじゃねーか! す、吸われる!?
おれの中指が美耶子の膣に飲まれていく。ヒダを指に感じる。熱くて狭い美耶子のだいじなところ。何万、いやそれ以上のファンたちが想像してやまぬ桃源郷。
おれはこの奥まで知ってる。それが誇らしい。恋人の特権だ。
子供なのに、小学生なのに、美耶子のまんこはこんなにイヤらしい。
それを視聴者に伝えるのが、今のおれの仕事――なんという苦痛と矛盾に満ちた仕事だろう。
『なにしてるの? 時間ないのよ!? はやく美耶子をイカせなさい!』
インカムから桃山園の指示が聞こえてくる。
「い、いかせるって、いま!?」
台本にはそこまで書いていなかったぞ。
『ノリよ! つーか、さっきあたしがイカせたのにあんたがイカせなかったら、市役所より亀有がヘタってことになるでしょ? それだと困るのよ、事務所的にも!』
そんなの知るか!
でも、むかつく!
「ゆういち、いつもみたいに、して」
美耶子が甘い声を出す。
いつも――最近はすっかりご無沙汰だが、美耶子を開発したのはおれだ。それだけは譲れない。
おれは美耶子の中で指をくねらせる。ヒダをかきながら、クリトリスを表と裏から――
「あっ、あっ、おにいちゃん、それ……っ! それ……やっぱ、いちばん気持ちいいっ!」
美耶子が一気に快楽のステージを駆け上がる。初めてのころ、ペニスがなかなか入らなかったときに、指で美耶子を愉しませるために使ったテクニックだ。美耶子はクリトリスが敏感すぎたために直接愛撫だと痛がった。だから、裏から――膣側からも刺激するようにしたのだ。そうやって性感を持ち上げてやってから包皮を剥いて責めてやると面白いようにイッた。
「あっ! ああっ! あああああっ! あーっ! あーっ! いっ……くっ!」
テレビ的にはいささかヤバイ表情と声。指マンされているそのものズバリは映っていなくても、容易に想像できるシチュエーションだ。
だが、今回のドラマでは、セックスしていることを隠さない。映さないが、設定上も美耶子は兄と担任教師と性行為をする、というシナリオなのだ。
そのリアルさは、この予告編ではっきり伝わるだろう。
センセーションを巻き起こすことは確実だ。
なんてことだ――おれは、いちばん好きな女の子を、いったいどうしたいんだろう……
おれは、イキながらおれにしがみついてくる美耶子の髪をなでながら――美耶子のイキ顔はアップで撮られ続けている――泣きそうになっていた。
つづく
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